週刊マネー講座

住宅ローンの金利を固定にするべきか?変動にするべきか?というご相談は、私が担当する相談の中でもベスト3に入るくらいとても多いご相談です。
今回は、「ローンの金利をどう選んでいくか?」を考えます。
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最初に金利の現状を整理しておきます。
金利の代表例(長期金利の代表例)である「新発10年国債の利回り」は下記のように推移しています。左下のオレンジのグラフは2011年1月から8月の推移を見たものです。3月の震災後金利は少し上昇する局面もありましたが、結局その後金利は低下傾向にあります。

もうちょっと長いスパンで見ると紫のグラフのようになっています。
1990年以降の推移をみていますが、2000年以降1%前後の比較的低い金利水準がずっと続いていることがわかります。
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住宅ローンの金利水準も基本的にはこうした金利動向に左右されます。
このような金利データをお見せすると・・・
「金利が低い状態はしばらく続きそうですよね。金利が上昇しないのであればローンは変動金利でいいですよね」という方もいます。確かに、変動金利は金利が将来上昇するかもしれないというリスクを負う代わりに、固定金利よりも金利水準は低くなりますし、金利を固定するタイプのローンでも固定する期間が長くなると金利は高くなりますから、この御意見は一理あります。
金利は経済成長率や物価上昇率に左右されます。現在の日本では経済が急激に成長したり、物価が上昇したりすることはなかなか考えられません。
また2011年になってからは、日本だけでなく他の先進国などでも長期金利は低下する傾向が見られます。国内外の経済情勢を考えるとなかなか金利が上がる要因は見つかりません。
しかし、金利は必ずしも経済成長や物価の動向だけで決まるわけではないという点には注意が必要です。
投資家から見てリスクがあると判断されると、その分金利を高くしないと国債は売れません。例えば、日本の財政状況への懸念が高まるなどして低い金利では国債を買ってくれなくなり、結果として、金利が上昇するということもありえる訳です。
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金利の動向や変動要因を見てきましたが、金利が今後どうなるかは誰にも予測がつきません。そもそも住宅ローンの金利の種類を金利の予測に応じて決めるべきではないとも言えます。
住宅ローンを考える際の基本は、やはり、固定金利だと思います。
将来にわたる返済額がその時点で決まり、将来の支出の計画が立てやすくなるからです。
住宅ローンを組んで大きな借金をするということは様々なリスクを負うわけですから、避けられるリスクは1つでも消しておくとことが合理的。できるだけ長い期間金利を固定すれば、金利が上昇して返済額が増えてしまうリスクをあらかじめ避けることができます。
一方で、比較的家計に余裕があれば、変動金利を選んでよい場合があると考えます。例えば、共働きをしていてローンの返済をしながらでも、ある程度の貯蓄ができるような場合です。住宅ローンを返済しながらでも貯蓄ができるならば、金利が多少上昇しても家計が破綻することはないでしょうし、貯蓄を繰上げ返済に回して元金を減らすという対策も取れるでしょう。このような場合は変動金利でローンを借りて目先の低金利を享受するという考え方も成り立ちます。
やってはいけないのは「希望の物件を購入すると固定金利だと毎月返済額が大きくなって返済が厳しそうだから、変動金利を選んで毎月の支払いを少しでも少なくする」。これは危険な考え方。
家計が厳しい方こそグッとこらえて固定金利で金利上昇リスクを避けるべきです。
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以上述べたように私自身は「住宅ローンの基本は固定金利であり、変動金利を使ってよい人は限られる」という考えを持っています。
最後に変動金利の特徴を見ておきます。次のグラフは金利の高低で、毎月の返済額がどうなるかを見たものです。左のグラフが3,000万円を35年、3%、右が3,000万円を35年、1%で借りた場合です。金利が低い場合(右のグラフ)毎月返済額が小さくなることがわかります。さらに毎月返済額の中の元金返済部分に着目すると、1%の場合(B)は3%の場合(A)より元金の返済額が大きいことがわかります。元金返済に充てられる金額が大きいということは元金返済も早く進むということになります。
「毎月返済額が小さい」上に「元金返済も早く進む」こと、これが変動金利(金利が低いこと)のメリットになるわけです。もちろん変動金利の場合には将来金利が上昇するリスクがあるわけですが、その場合でも元金返済が早く進んでいれば、利息は元金に金利をかけて計算しますので金利が上がっても返済額は大きくならない可能性もあります。このような理由から変動金利は正しく使うべき人が正しく使えば大きな味方になってくれます。

固定金利か変動金利かという選択については、基本となるのは固定金利で、家計の状況によっては変動金利を選んでもいい場合が出てくる、と考えるとよいでしょう。いずれにせよまずはキャッシュフロー表を作成するなどして、ローン返済だけでなく将来の家計全体がどう推移するのかシミュレーションしてみることをお勧めします。
| このコラムの執筆者 井上光章(マイアドバイザー.jp 登録) | |
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2007年に井上FP事務所を開業し独立FPとして活動開始。2011年に株式会社FPアルトゥルを設立、代表取締役就任。1)ライフプラン設計とその実行支援、2)資産運用コンサルティング、3)住宅ローンコンサルティングの3つを主な業務として行う。著書に『マイホームで年金をつくる』(共著、評言社)がある。 |
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